ようやく離乳が終わったところなんですが、よく噛まずに食べて、早食いなのが心配です……
咀嚼力を育てるために、噛み応えのあるものを与えたくなるものですが、無理にかたいものを食べさせるのは厳禁です。
1歳6か月頃に奥歯である第一乳歯が生えそろうと色々なものが食べられるので、離乳食を卒業できるようになります。咀嚼力を育てるために、噛み応えのあるものを与えたくなるものですが、無理にかたいものを食べさせるのは厳禁です。年齢にもよりますが、子どもの噛む力は大人の1/3程度です、15歳頃になって初めて、大人と同じ噛む力になります。
食べやすい工夫で咀嚼力を育てる
第一乳歯が生えて、かたい食べ物を噛み潰すことができても、まだ飲み込みやすいようになめらかにすりつぶすことは上手くできません。乳歯が生えそろう3歳頃までは、食べ物の切り方、加熱の仕方に工夫が必要です。
特に幼児期以降木である、1歳~1歳6か月に、咀嚼力に合っていない硬さや形状のものを与えてしまうと、噛んで食べる事の楽しさを感じられなくなります。それによってあまり噛まずに丸飲みしたり、べーっと口から出したりと、食べ方に変な癖がつくこともあります。
食品を食べやすいように工夫して、繰り返し食べさせることが、噛むことの練習になり咀嚼力を正しく身に着けることに繋がります。
口と頬の動きで見極める
まずはどのように咀嚼しているかを見極める事から始めます。口と頬の動き方に注目して、直ぐに動かなくなったり、頬が動いていなかったり、口が開いていたりすると、きちんと噛めていないのかもしれません。
分かりにくい時は、食べ物があるときに口を開けてもらい中を見て見ましょう。食べ物が喉奥に乗っていれば、きちんと噛めている証拠です。また、口の中では、調理したときより食べ物が小さくなっているかもチェックします。大きさがそのままであれば、噛む力がまだ足りないのかもしれません。
また、子どもが楽しくなるように大人が噛んで食べる様子を少しオーバーな動きで見せながら、「もぐもぐ、かみかみしようね」「噛んだらどんな音がするかな?」と声をかけてみます。これによって楽しく咀嚼することを覚えていきます。
音を促すことは、野菜嫌いの子達にも効果があるときもあります。「これ、音がするんだって!」「どんな音がした?」「カリカリ? ポリポリ?」そう言った声掛けで、苦手な野菜を食べる子どももいるので試してみてください。
噛まない理由に合わせて対処する
噛めずに口にため込んでしまう場合は、まず食べ物や調理法をみなおしましょう。食べにくいものは細かく切ったり、長く加熱して軟らかくしたり、とろみをつけてのど越しを良くしてあげるなど、様々な工夫をします。
噛まずに水で流し込んだり、丸飲みしたりすることは食欲旺盛な子どもに多く見られる特徴で、早食い・肥満の原因になりがちです。一口量をゆっくり前歯でかじり取って、しっかり噛む練習をすることが大事です。
食べにくい食品例
- ぺらぺらしたもの … レタス、ほうれんそう、わかめなど
- 皮が口に残るもの … ミニトマト、豆類など
- かたすぎるもの … かたまり肉、えび、いかなど
- 弾力のあるもの … こんにゃく、かまぼこ、きのこなど
- 口の中でまとまらないもの … ブロッコリー、ひき肉など
- 唾液を吸うもの … パン、ゆで卵、さつまいも、じゃがいもなど
- 誤嚥しやすいもの … こんにゃくゼリー、もち、ピーナッツなど
噛んで食べるとおいしいことを実感させる
よく噛んで食べる習慣をつけるためには「噛んで食べることが美味しい」という経験をさせることが大切です。人間はエネルギーに繋がるうまみや甘味を感じると、よく噛んでたくさん唾液を出し、食べ物と混ぜ合わせて栄養素を吸収しようとします。
色々な食材の味を体験させるために、薄味を基本にしながら、うま味も上手に利用します。うまみとは、こんぶやかつお節、きのこ、野菜などからとった「だし」の味の事です。噛んだときにうまみを感じると、食事が楽しくなり、咀嚼促進につながります。
また、軟らかいものだけではなく、さまざまな硬さの食物を出すようにします。それぞれの硬さや噛み具合などを体験することで、食べ物に応じた咀嚼力の仕方を身につけることができます。そのために、一食の中の主食、副菜、汁物のどれか一品を噛んで食べることを促すメニューにします。
全て噛み応えあるものにすると、かむことに疲れて、食事そのものが億劫になってしまう可能性もあるので、ほどほどに噛むメニューが理想です。